ビジネスを進めていくにあたっては、いわゆるPDCAサイクルを回していくことが極めて重要です。
DX推進も、データに基づいたPDCAサイクルの展開が重要な要素の一つとなります。
この中で、特にPlanとCheckこそ、データ分析が大いに生かされるべきプロセスであると当社は考えています。
Plan:施策立案には、自社の顧客や未顧客・市場を理解することが重要であり、そのためには顧客調査や、過去の購買履歴・サイトのアクセスログ、お客様の声などの社内既存データ分析が有効です。
その分析結果を踏まえ、論理的に推論し、仮説を立て、施策を立案することが重要です。
Check:施策の効果検証は、単純そうに見えますが、実は極めて複雑な問題をはらんでいます。全くの偶然で関係があるように見える場合[1]、施策の実施とその結果の両方に影響を与える他の要因がある場合、原因と結果が逆の関係の場合などがあるためです[2]。
例えば、施策の実施とその結果の両方に影響を与える他の要因がある場合を考えます。
総務省情報通信政策研究所の調査結果によると、テレビをリアルタイムで見る者の割合は、平日休日共に、年齢が若い層ほど少なく年齢が高くなるにつれて多くなる傾向が見られます[3]。この時に、若者が好むゲームのTVCMを流した場合、TVCMを見た者と見なかった者で単純にゲームの利用率を比較しても効果を把握することはできません。そもそも若い層は年齢が高い層に比べテレビを見ない傾向にあり、TVCMに接する機会も少ないと想定されることから、「TVCMを見ないグループの方が見たグループよりもこのゲームの利用率が高い」ことがありえます。そうすると、「TVCMを流さない方がこのゲームの利用率が高まる」「TVCMはゲームの利用率を下げる効果がある」という誤った解釈をすることになります[4]。
こうした場合、正確に施策の効果を検証するためには、いわゆるA/Bテストを行うか、「統計的因果推論」と言われる方法で、A/Bテストと同じような状況を統計的に推定して効果を検証する必要があります。
単純な施策実施前と後の傾向と、統計的因果推論の方法で施策の効果を推定し比較・検証した事例を当社自主分析レポートとして公開しています。詳しくはこちらをご参照ください。
分析レポート | Human Robot Analysis 株式会社
当社は、従来のいわゆるKKD(勘・経験・度胸)によるビジネス推進から、こうしたデータの活用・分析を通したPDCAサイクルの高速化、更にはこれらの重要性の理解・浸透を目的としたワークショップの実施などを通して、ビジネスの意思決定の高度化、DXの推進に貢献しています。
[1] https://www.tylervigen.com/spurious-correlations
[2]『「原因と結果」の経済学』中室牧子・津川友介、ダイヤモンド社(2017)
[3] 総務省情報通信政策研究所「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
https://www.soumu.go.jp/iicp/research/results/media_usage-time.html
[4]「因果効果推定の応用 CM接触の因果効果と調整効果」加藤・星野 『岩波データサイエンスvoi.3』岩波データサイエンス刊行委員会、岩波書店(2016)